都合山見学会
2021年11月13日、14日は都合山にガイドが常駐する見学会が開かれました。今までは、予約のみにガイドが付きましたが、今回は新しい試みです。
季節君もガイドとして参加することになりました。
伯耆国たたら顕彰会、奥日野ガイドクラブから5人のガイドが常駐することになりました。
季節君はお昼からの参加です。
都合山には2通りの道があります。上菅からの道が「たたら街道」であり、傾斜もゆるくおすすめです。
季節君は急な坂道ですが近江、畑から登ってゆきました。
こんなにも急だったかなと後悔し始めたころ、お客様とすれ違いました。
岡山県からのお客様で、休憩を兼ねてちょっと立ち話。
ほかの遺跡も見てみたいとおっしゃるので、才之原と福長山のお話をしましたが、すでに発掘調査は終わっています。少しタイミングが遅くて残念でした。
都合山に到着すると、他のお客様への対応で、スタッフは忙しくしていました。
季節君は、この隙にたたら街道沿いに下ってみます。
このところ、たたら顕彰会では「鉄穴場」探しに取り組んでいます。
一枚の絵図をきっかけにして、周辺の鉄穴場を探しているのです。
既に前回の調査で水路は見つかりました。
しかし、その水路があちこちに分岐しているので全体像がつかめていません。
さらに、走りと呼ばれる砂鉄を流した跡もあちこちに走っているために、選鉱場の跡が特定できていません。
角田博士の調査をもとに、選鉱場の可能性の高いところを確認してみます。
都合山から500メートル下ったところ、対岸に平地が造成されています。
小川を渡ってみると、足元には石組みが埋まっていました。
これが角田先生の言われる「選鉱場」でしょう。
これは、舟と呼ばれた砂鉄をすくい上げるあたりの設備ではないでしょうか。
周辺を見てみると、山が崩れていたりして、全体像がはっきりしないのですが、これにつながる走りは確認できます。
さらに奥に上がってみると、この走りは2股に分かれています。
ここは、上流に2か所以上の掘削場「切端」をもつ選鉱場なのでしょう。
都合山の鉄穴場は、高いところに水源をもち、高い尾根の上を井出で結んでいるため、あちこちに水を落として砂鉄を採っていたようなのです。
こんな景色があちこちに見られます。
探せば、まだあちこちに走りや選鉱場が見つかるでしょう。
その後、季節君は都合山にもどり、ガイドをしながらカナクソのサンプルをいくつか見つけてみました。
椀型鍛冶滓、製錬滓、炉壁、流動滓です。
都合山は、大鍛冶を2棟持った典型的な近藤家型のたたら場です。
だから、たたら場に鍛冶滓があるのです。
鍛冶滓は、磁石が付くのでそれと確認することができます。
今後おいでになる人のために、サンプルとして用意しておきました。
ガイドクラブの人は、施設の修理や道路の補修に汗を流しておられました。頭の下がる思いです。