道路拡張工事に伴いたたら遺跡の調査があると、教育委員会から連絡がありました。

たたら顕彰会の末席にあり、文化財保護審議委員でもあるからとお声をかけていただいたことをありがたく思います。

場所は才の原たたら。

これを聞いてピンと来た人は奥日野のたたらについてはスペシャリストです。

といいますのは、根雨公会堂に坊主石があり、説明書きには才の原から出土したと書かれているのです。やはり道路拡張工事の際にのり面に露出したらしいです。
坊主石とは、たたらの炉の下に湿気が上がらないように大きな石を敷き詰める。加工されて尖った石のことです。
公会堂のぼうず石のリンク

どんなふうに埋まっているのだろうと、興味津々で調査現場にゆきました。

しかし、現場はまだトレンチを浅く開けただけの状態でした。説明をお聞きすると、ここからさらに2メートルは掘り下げないと坊主石は出てこないだろうとのこと。
zenntai

さらに周囲は道路で削られていて全体像はなかなかつかめない状態でありました。道路ののり面を崩すわけにもゆかないし、大規模な調査は難しいそうであります。

 

トレンチ(試掘溝)の中には、いくつかの縞模様を見ることができます。
旧床釣り

最初の黒く焼けた跡は古い床釣りだとのこと。向きは日野川に平行気味になっています。
小舟DSC07105

そこから5メートルほど行ったところに小舟と思われる焼土の跡、さらにカーボンベッドが続いているのは、あきらかに新しい大舟です。しかし、大舟は前の工事で削り取られています。
カーボンベッドDSC07106

おそらく江戸時代前期の物であろうとのお話でした。
写真では方向がわからないのですが、
炉の向きが道路に直角に向いているのは、この炉の横に小川があったためかなくそ捨て場に使った可能性があるそうです。しかし、そこは今では石崖になりその下は田んぼに作り替えられていたのであります。

やはり現場を見ないと、写真だけでは臨場感が伝わりません。
写真を撮ったり、勝手な憶測を喋ったりしていると

「この先に試掘したところでは、いろいろと出土していますよ」と気になる説明がありました。
それはぜひ、行ってみなくてはなりません。

ε=ε=ε=(((●’▽’) ダッシュ!!!

つづく……