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同行した著名な考古学の先生はとっとと山の上に上がってしまいます。


そんなところには何もないのに、遠くから全景を見たいのでしょうね。


やはり、専門家は考えることが違います。


 


先生のことはおいといて一生懸命写真撮影をしていると、


きせつくん!!ここ、ここ


と先生の大きな声が聞こえます。


え~そこまで登るんですか。心臓がパンクしそうだし。


それでも、大先生のおっしゃることには逆らえず、えっちらこっちら上ります。


 


先生が見つめている足元を見ると、おおきなカナクソの塊が埋まっています。



「これは、大鍛冶の椀型鍛冶滓です。これはまだ生きているので、ここには大鍛冶場があったのでしょうね。」


先生の説明では、酸化して焼け爛れた茶色は鍛冶滓に多く見られ、火窪の中に落ちた酸化物が再結合してこれだけ大きくなったのです。


 


精錬滓はもっと青みが勝っています。


へ~って季節君は感心します。さすがに大先生です。


これも撮影し埋め戻していると


 


季節君!!


とまたしてもスクランブル。


今度は谷底からです。


いつの間にそこに移動したのでしょう。


神出鬼没です。


 


声の大きさと緊張度からレッドゾーンですね。


変身!とぉー


と仮面ライダーのように飛び降りてゆきます。


ダッシュ!-=≡ヘ(* - -)ノ 


谷底で先生が見ておられたのはこんなものでした。


羽口と椀型滓。


 


さっきの山の上にあった大鍛冶で、ふいごから火窪に送風していた送風管です。


山の崩壊にともない上から落ちてきたようです。


椀型滓がいくつか見られるので、大鍛冶はかなりの規模であったことが連想されます。


ここで遺物を探していると、いつの間にか先生はその先の倉庫に向かっておられて、


季節君!


はいはい、わかりましたよ


 


 


『この倉庫は屋根が木で葺いてあるので古いですよ。


(その上にトタンが引いてあります)


たぶん元小屋かなにかの建物だったのでしょうね。』


ええっ!


流石に大先生は見るところが違うなって心の底から感心してしまいました。


(゚ー゚)(。_。)(゚-゚)(。_。)ウンウン


 


この遺跡の場所は故あってまだ内緒です。


(おしまい)