いよいよ境港でのたたら開始です 2
11:50に1回目のノロ出しが行われました。高温の炉内にはケラと呼ばれる鉄の塊ができ、その周りに粘土や砂鉄に含まれる不純物ケイ素が熱で溶解し溜まります。
その不純物をノロと呼びます。
炉の底に開けられた穴を突き崩すと、真っ赤に溶けた珪素がノロノロと出てきます。
炉の底にはしっかりと鉄ができているようで、2回目のノロ出しでは、2つある穴のうちの上の方の穴を突き崩して村下(技術長)がノロ出しをしました。上の穴を使ったのを私は初めて見ました。
13時に砂鉄投入終了。15Kgの砂鉄と炭40Kgほどを使っています(炭は全部使ったかどうか未確認)。
これからしばらく炭を燃やし続けて鉄を固まらせることになります。
炭に砂鉄がくっついた状態のものを見せていただきました。こんな状態で炉の中の砂鉄は解けてゆくのでしょう。
しばらく時間の余裕ができたので、海とくらしの史料館の中の展示を見せていただきました。
1階にはビデオ展示や、たたらについての説明がありました。
2階には砂鉄を採るための鉄穴流しにについての説明。
どれだけたくさんの山を崩して砂鉄を採ったのかという地図の説明がありました。この砂が弓ヶ浜を作ったのですものね。
それから、境鉄山融通会所の資料もありました。
私も初見の資料なんかもあり、興味津々で見ておりました。
中庭に降りて、カニ汁をふるまっていただき、お弁当タイム。
15時に炉を壊して鉄を取り出します。
すごく高温になっているのでこの工程が一番危険でもあり、鉄を冷やすのに時間もかかります。
一方で私たちは高殿の解体にかかります。
晩秋の日暮れは早いので、のんびりしていると根雨に帰ったころには真っ暗になってしまうのです。
「おおっつ!!」 ヽ(゚∀゚)ノ ♪ と歓声が上がったのを振り返ると鉄の計量に入っています。
古式ゆかしき年代物の秤の上に鎮座する鉧(けら)。
なんと9,4Kgの重量を誇る鉄塊があります。理論値ではこれが限界のようです。(15Kg中の鉄成分)
鉄塊はけら(鍛える前の不純物も含んだ塊)ですので、鉄滓も内在しているんでしょうが、それにしても見事な大きさができています。今までで最高の出来でした。
片付けも順調にすすみ、16時過ぎには閉会の挨拶。
「江戸時代より長く続いた境港と奥日野のえにしを大事にして、今後もお付き会いください」
と季節君がご挨拶をして終了となりました。
それにしても、見事な鉄の出来栄え、事故もなく、境港の皆さんも暖かく接してくださって、大変楽しいイベントになりました。
その後根雨に帰り、暗くなるまでに片づけを終了して、無事に一日を終えることができて満足な一日でありました。