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2024年08月

黒坂の町割りを書いた図面を発見

恒例となった日野町の古文書調査をしていました。
今回の調査対象は江戸時代の500冊。
既にこの一年で、このうちの350冊くらいのリスト化を終えました。
此度見つけた面白い古文書は『御城役目札新口並役目屋敷外住居人別改帳』

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目代大塚九兵衛とありますから、黒坂にある福田家屋敷をあずかる大塚九兵衛が、町にいる人たちに役目を割り振ったものです。
おもしろいのは絵図が書かれていること。
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生山町から鍛冶屋町まで記載されていて、デジタルカメラで撮影したので、これをプリントして並べれば、町の全体像が分かります。
さらに横町では緒形家が多く存在しているのがわかります。
現在もこの場所には緒形の所有地が多くありますが、江戸時代から続いているのがわかります。
緒形家は黒坂では最大の鉄山師です。
そう思ってみてみると、黒坂の町中に緒形の地所があちこちに散見されます。

さらに割鉄屋とか鍛冶屋とかも点在しています。
割鉄屋とは、割鉄を売っていたのでしょうか。小鍛冶のために鉄の小売りをしていたのかもしれませんね。そういった職業があったことは日南町の古老に聞いたことがあります。
とても興味深い資料を発見しました。

盆の帰省でお帰りのご近所さんと久しぶりに都合山遺跡に行ってきました。
近江、畑の近道から入ったのですが、作業道が夏草に覆われて行きにくくなっています。
風景が違って見えて道を間違えそうでした。
それに遺跡への進入路、急斜面に作った小道に杉の大木が二本倒れています。
これを乗り越えるのにちょっと往生こいてしまいました(笑)。
(大変だったということ)
夏草が枯れるまで、畑からの道は通らないほうがいいかもしれません。

夏草に行く手を阻まれましたが、それでも、都合山遺跡自体は静かにそこにありました。
意外と涼しい風が吹きわたっています。
草や虫の事を考えると、虫よけをして長そでで来てください。
クマよけの鈴も必要です。お持ちの方は454マグナムも持ってくるといいかもしれません。
杉の木を切ってないので、その下にある遺跡自体は日陰になっていて涼しく、草も生えていません。
それに毎年春に草刈りをします。
私は足を怪我していて、今年の草刈りに参加できませんでした。
申し訳ないことでございます。

管理小屋の前にはベンチがあり、カナクソが置いてあります。
砂鉄には50%の酸化鉄と50%のケイ素が含まれています。
その砂鉄を熱して鉄とケイ素を分離し、ケイ素は炉の外に溶かして出します。
その溶け出たケイ素が冷えて固まったのがカナクソです。
そしてひときわ大きい帽子のような形をしているのは鍛冶滓です。
出来た鉄を鍛冶場で鍛えているときに、炉の中に落ちたものが固まったのがこの鍛冶滓です。

たたら場の中にはあちこちにカナクソが落ちていますが、遺跡は保存しておく必要があるので持ち帰らないようにしましょう。

高殿と呼ばれる製鉄炉の建物の前には、説明看板があります。
しかし、春の大雨の影響でしょう。
この説明看板が倒れていました。
ちょっと私一人だけではどうにもならなかったので、何とか修理をする必要があるなと思いました。

一緒に行ったお客様も「一人で見ただけでは漠然としているけれど、こうして説明をしていただくとよく分かる」と言っていただきました。
ほんとその通りなのですよね。
現状では、ただ石垣があるだけで建物もないし、何が行われていたのかわからないですから。





谷中山遺跡

日南町に谷中山遺跡があります。
季節君も伯耆国たたら顕彰会ができて間もなく、もう10年も前のことですが、見学に行ったことがあります。
小さな道のすぐそばなのですが、小川を超えた対岸には、厳然と石垣がそびえていました。
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そして、水車の柱もまだ立っていました。
この柱はその冬の大雪で倒れたのが残念です。
この谷中山遺跡は日南町を代表するたたら場跡なのです。
山中にあり、人の手が加わっていないこと、大正時代、近藤家の主力工場なので設備の跡もしっかりとあり比較的新しい遺跡であること。伝承もはっきりしていること。
などから、日南町の指定文化財になっています。
遺跡の現地説明会があったのですが、季節君は仕事の都合で行くことができませんでした。
そこで、知り合いにお願いして資料を送っていただきました。

この発掘調査で特筆すべきは、地下構造から大きな四角柱の鉄が発見されたことです。
炉の直下は大舟、小舟があり、その構造が崩れるのを防ぐためだと考えられています。
資料には筋金と書かれています。
まさに筋金入りの遺跡です。
これから近世、近代のたたら場発掘調査には、この筋金を入れた跡があるのかどうかが調査の見どころになりそうです。

都合山見学会のお誘い

暑い日々が続いておりますが、みな様いかがお過ごしでしょうか。
こんな暑い日には、涼しい林間学校はいかがでしょう。
奥日野ガイド倶楽部では、8月18日に都合山の見学会を開催いたします。
上菅山中の渓流沿いに都合山遺跡はあります。
林間を吹き抜ける涼しい風に癒されながら、古の鉄づくりの里をのぞいてみるのも面白いでしょう。
また、この地域に昔あった一大産業の遺跡を勉強してみるのもいいでしょう。
当日は奥日野ガイドクラブの名ガイドが遺跡の説明を致します。
とくに見どころは、新しく見つかった砂鉄の採取所の跡。
山頂を延々と伸びる井出水路。そこから谷に向かって水を落とし、山肌を削って砂鉄を採った鉄穴流しの跡です。
江戸時代の下原重仲が書いた鉄山必要記事。
その中に、走りは急斜面に長くとり、砂鉄と砂を分離させること。途中に滝を設け土砂を粉砕する事などが書かれています。
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順路となるたたら街道からその滝や選鉱場(鉄山必要記事には池川と書かれています)が見れます。
もちろん、都合山の高殿跡や集落の跡もあります。
お申し込みお問い合わせは 090‐2299‐6191 佐々木まで


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