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2022年02月

松井和幸先生の『鉄の日本史』を読んでいます。

2022年1月15日に出版されたばかりの本です。

 

このところ本業が忙しく、たたらについては勉強不足になっていたので、もう一度勉強しなおすにはいい出会いでした。

 

内容は、人類が隕鉄を利用し始めたところに始まり、人工鉄の生産。

大陸から日本への伝搬。

古代鉄の遺物。

中世、近世、近代へと年代を追っての細かな調査と理論の展開でありました。

 

日本中の遺跡や論文を細かく引用しておられ、証拠に基づいた大変ためになるものです。

 

面白かったのは、日本での製鉄が弥生時代に始まるとの見解と、その論拠についての記述。

私は、製鉄の始まりが、弥生時代なのか古墳時代なのかを話せる立場にはありませんが、弥生時代だったら面白いなと思って読ませていただきました。

 

以前、わたしは広島にたたら製鉄を使った町おこしの講演をしに伺ったことがあります。

http://blog.tatara21.com/archives/3570207.html

その時、偶然に三原市八幡のパーキングエリアで製鉄遺跡を見ました。

そこには、弥生時代だと思われる年代測定の説明があり、驚いた記憶があります。

なんと、この発掘を担当されていたのが、著者の松井先生であったそうであります。

次に行くときにはもっとしっかり見てこようと思います。

たしか、このパーキングエリアで天ぷらうどんを食ったような記憶もあります()

おいしかったです。

 

さらに日本刀が中世期には貴重な輸出品であったとの記述。

田中健夫先生は中国に対して20万本の輸出があったと推定しておられるそうです。

どこかで読んだ記憶があったのですが、改めて確認することができてうれしかったです。

 

そうして、私が今までに学んできたことを、論拠を以て確認しなおすことのできる貴重なご本でありました。

260ページほどあって、内容も濃く読み応えのある本です。たたらのことを詳しく知りたい方はどうぞ読んでください。

 

毎月一回、日野町が保管している古文書の整理作業をしています。
今日は、江戸時代後期の納税関係の書物を扱っています。
表題や執筆者、受取人、記載年などを調べてデータベースにしているのですが、書類が多いのに反して参加していただけるボランティアが少なく、遅々として作業が進みません。

今回は、7人で2時間ほどやりました。
皆さん、それぞれの知識を生かして頑張っておられます。

そんななかで、面白そうな表題を見つけました。

天保五年
小河内村内林鉄山取改帳

下黒坂村の甚助という人が執筆しています。

小河内は、いまも黒坂の少し上流側に存在しています。
そこにあった鉄山林を調査して報告書を作ったということのようです。
(鉄山林とは、たたらの燃料となる炭を作る山林のことです)

今日は作業中なので、横道にそれてはいけません。
でも、この中の記載には新発見があるかもしれません。
う~ん。3秒悩んだ末に、私の責任感はあっさりと負けてしまいました。
もともと、そういったロイヤルティーのない人間なのです。


ちらっと中をのぞき見します。


鉄山林のある場所、広さ、名前が書かれています。
おそらくこの土地の地主の名前なのでしょう。
小河内では市作という名前が多く出てきます。

もっと詳しく読み解けば、いろいろな意味をくみ取ることもできるのでしょうが、いくら時間があっても足りなくなります。
きょうは表題のデータベース化が目的なので、ここまでにしておきましょう。

しかし、やはりあるべくしてあった古文書だという気がします。
この古文書の山の中には、たたら関連の内容が記載されたものがほかにも多く眠っていることでしょう。

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