カナクソの唄
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カナクソって皆さんご存知ですよね。
砂鉄に含まれる約40%の不純物が炉の中で熱せられて溶け出し固まったのがカナクソです。
ですから、たたら場には不要となったカナクソが大量に捨てられているのが一般的です。
製鉄遺跡調査にはこのカナクソの存在が重要なのですが、季節君が最近になって分かってきたのは、カナクソにもいろいろあるということです。
これが普通にあるカナクソです。
そして炉から出た不純物(ノロ)は低いくぼみに溜められます。それを壊してしまったのがこんなかたちのカナクソ。20センチくらいで厚みもあります。
湯溜まりに溜めたものがあまり大きくなりすぎて、壊せなくなって廃棄されたものもあちこちで散見されますが、大きいものは1メートル以上あります。こんなのはカナクソの親分ですね。(日南湖畔)
さらに、たたら場直下には炉の粘土と合体したままのカナクソもあります。この場合は炉を壊すときに炉壁にくっついていたカナクソですね。こんなのが出るところは本床まじかであったことが明らかです。 まじか!
(;^◇^;)ゝ イヤァ
ところで、先日日野町では記録的な集中豪雨がありました。高速道路も使えなくなり、三連休最終日であったこともあり大渋滞が発生しました。
もちろん、日野川も増水したのですが、支流の板井原川や舟場川も氾濫しました。
その支流を見てみると多くのカナクソが打ち上げられていました。
数百年という長い年月をかけて山中のたたら場跡から町まで流れてきたのです。
カナクソは転がってくるうちに角が削られまん丸になっていました。
言い換えれば、この形のカナクソが発見できればその川のはるかに上流にたたら場跡があることになります。
また、このカナクソは山里の集落のはずれにある鍛冶場跡から発見されたものです。
炭の破片に混じって小さなカナクソが堆積していました。
たたらで作られるケラは不純物の混じった不均一な状態です。それを鍛冶場で鍛錬して製品化する工程で、不純物がはじきだされます。
こういった小さなカナクソの破片が集中しているところは鍛冶場の可能性が高いことがわかります。こういった鍛冶滓には鉄分を含んで磁石にくっつくものもあります。
一口にカナクソと言っても生まれや育ちが違うのです。
これからたたら場調査をするときはカナクソの形状にも注意が必要だなって思います。
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(注意)カナクソはそこが遺跡であった証拠になります。ですから今後の遺跡保存のためにもむやみに持ち帰らないでほしいのです。