角田先生の出版記念講演

角田徳幸先生が新刊を出版されました。

新泉社の「遺跡を学ぶ」シリーズから「たたらの実像をさぐる 山陰の製鉄遺跡」です。

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金属学者であった俵国一先生の「古来の砂鉄精錬法」に倣い、たたらの概要、都合山遺跡、戸波遺跡、値谷遺跡の紹介をされた後、山陰のたたら遺跡を使ったまちづくりを紹介して締めくくられています。

伯耆国たたら顕彰会が日ごろお世話になっている角田先生のことですから、私たちも応援して一宿一飯の恩義をかえさないといけません(ふるーい言い回し)。

ということで、この本の出版を記念して講演会を開催いたしました。

日頃の感謝の思いが強すぎた季節君はその思いが空回り。

日南町文化ホールに2時間も早く到着した季節君は、仕方なく図書館で時間をつぶすことにしました。

本棚を探して、ふと手にした本は「阿毘縁のあゆみ」

時間が過ぎるのも忘れてどっぷりと読みふけってしまいました。

気が付いて会場に飛び込んだ時には会場設営も終わり、役員は集合していました。

そして、講演者が集まりお食事。

これが季節君の一番楽しい時間です。

いやいや、食事ではなく、打ち合わせの内容がとてもためになるのです。

今回は鳥取県教育委員会で文化財を担当しておられた中原氏、奥出雲町で文化財を担当しておられた高尾氏がおられます。

私たちが目指しているたたらによる文化振興について、いろいろと貴重なアドバイスをいただきました。こんな打ち合わせを定期的にできたら活動に弾みがつくんでしょうね。

 

さて講演開始です。
参加者は役員含めて50人ほどの小さな講演会。
いつもお見掛けするマニア、研究者のかたがおいでです。
こんな小さな講演会なのですが、中央の研究者のかたが、いつもおいでになるのが驚きです。
こんかいは京都の徳安先生がおいででした。
私たちがフォーラム2017を開催した時に講演をお願いした先生です。
鉄穴流しの研究をしておられます。
行政のかたも結構参加しておられました。


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講演では、角田先生が都合山調査を始められたきっかけなどについて伺いました。
ドイツで発表されたレーデブア論文の写真が福岡山のものであったことなど、私の知らなかったこともちらほら出てきました。もう一度レーデブア論文を読み直してみましょう
(もちろんドイツ語などは読めないので、雰囲気を眺めるだけです)

 

その後のパネルディスカッションでは、司会のすぎはら氏の質問が鋭すぎてタジタジしていたパネラー(季節君)でした。

しかし、高尾氏の島根県での取り組みはずいぶん参考になることが多くありました。
これからは日野郡でも体験型のイベントもやってみたいなって感じます。

 

締めくくりのご挨拶でもお話しましたが、日南町では大原山の工事現場での発掘調査や、谷中山の史跡指定などがあります。江府町では、昨年の下原重仲講演に続き、たたらのイベントを実施される計画がありますし、日野町でもしたいことがいっぱいあります。
まだまだ、奥日野のたたらは熱いです。

沢山の刺激を受けた講演会でありました。

2022年8月28日
天下のNHK。しかも人気番組 ブラタモリ で伯耆のたたらが放送されました。
弓ヶ浜半島は日本最大の砂州である。
というところから始まって、なぜこんなに巨大な砂州ができたのか。
じつはたたらで排出された砂が溜まってできた人口の浜である。
というような話の展開でありました。

ブラタモリは地質学を扱うことが多いため、そういった話の切り口が妥当だったのでありましょう。

そんな中でも、日南町でカナクソを探す辺りなどは、たたら顕彰会のディレクターが最も得意とする体験型、発見型イベントであります。

惜しむらくは、川平山ぐらいの売り出し中の遺跡だったらもっと展開が違ったかなと思ったりもします。
アクセスしやすく、たたら場の形状がはっきりと残る遺跡。
江府町では、この遺跡を使ったイベントを企画しておられます。
詳しく話が決まったら、ここでも紹介させていただこうと思います。

この番組を通して、奥日野のたたらが、弓ヶ浜を作るくらい壮大なものであったということを知っていただければ嬉しいと思います。

角田先生 出版記念イベント

前回、角田先生の新刊が発売されたことを書きました。
皆さんお買い求めになったでしょうか。
日南町の書店でも30冊を超えるほど売れているそうです。

で、伯耆国たたら顕彰会も、日ごろお世話になっている角田先生のことですので、応援しようということになりました。
シンポチラシ/ラフ

9月17日に日南町総合文化センターで講演会を開きます。
パネラーに、元鳥取県教育委員会文化財課、現在は米子市教育委員会に居られる中原斉氏
奥出雲町教育委員会の高尾昭浩氏をお迎えして
たたらの歴史遺産を使った地域の活性化をどう展開するかについてみんなで知恵を絞ってみます。

中原氏は、伯耆国たたら顕彰会が発足した時、大変なお力添えをいただきましたので、きっといい話が聞けると思います。
奥出雲町教育委員会は、このジャンルでのトップランナーです。

さらに、翌18日には都合山を見学して、実際の現場を見ながら今後について考えてゆこうと思います。
都合山は、地元の皆さんが整備され、県の指定文化財まで持ってこられました。
今年はさらに日野町が、公園整備をされます。
角田先生はまだまだ調査を続けておられ、昨年は、鉄穴流し場や選鉱場もいくつか発見されました。
都合山は、砂鉄採取場から炭焼き場、製鉄工場、鍛冶による製品化工場、職人の村まである、壮大かつ完結型のたたら場であったことがわかってきました。
鉄穴流し場もまだ調査途中であり、選鉱場もまだまだありそうです。
今後、都合山では何が見つかるかまだ予断を許しません。

これからの可能性をいろいろ考えながら、みんなで語り合い、好き勝手に夢を咲かせる場にしたいと思っています。

もちろん、角田先生、顕彰会スタッフも参加し全力でガイドするつもりでございます。
椀型鍛冶滓が川に落ちていたり、選鉱場が向こう岸に見えていたり、砂鉄粉砕のための滝が走りになっていたり、道路の形がいびつだなって思っていたらそこには橋の橋脚が埋まっていたり、いろいろ見どころはあります。
アッと驚く遺跡もあると思いますので、皆さんご参加ください。

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